PPS樹脂による金属部品の樹脂化
近年、機能性樹脂が進化し、金属部品の樹脂化が加速しております。
特にPPS樹脂は高い耐熱性、耐薬品性を有し、ガラス繊維の強化で機械的性質も優れているため、他の材料に比べ金属代替に有利な特性を多数有しております。
金属からPPSへ代替することで、材料費や加工費、部品点数削減によるコストダウン、軽量化、納期短縮を見込めます。
一方、PPS樹脂はガスやバリの発生がしやすく、成形難易度の高い樹脂でもあります。
当社は25年以上前にPPS樹脂の可能性に着目し、これまでPPS樹脂成形の技術とノウハウを蓄積してまいりました。
PPS樹脂の特性をよく理解した金型製造技術と成形技術を組み合わせることで、量産成形だけでなく、材料選定から形状提案、図面化、試作品作までを含めた金属部品の樹脂化をトータル的にサポートさせていただきます。
「樹脂部品」と「金属部品」の比較
評価項目 | 鋳物 | ダイカスト | PPS樹脂 | PPS樹脂特徴 | |
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価格 | 材料費 | × | △ | 〇 |
|
金型・開発費 | 〇 | △ | △ | ||
加工費 | △ | △ | 〇 | ||
納期 | 開発期間 | 〇 | 〇 | △ |
|
製造・量産 | × | △ | 〇 | ||
材料調達 | △ | △ | 〇 | ||
物性 | 機械的強度 | 〇 | △ | × |
|
耐熱性 | 〇 | 〇 | △ | ||
耐薬品性 | △ | △ | 〇 | ||
耐腐食性 | × | △ | 〇 | ||
比重(軽量性) | × | △ | 〇 | ||
品質 | 寸法精度 | △ | 〇 | △ |
|
寸法安定性 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
加工性 | 成形加工 | × | △ | 〇 |
|
後加工 | × | △ | 〇 | ||
形状自由度 | × | × | 〇 |
※PPS樹脂は評価項目において、優れた特長とバランスをもち、金属代替に適した樹脂です
金属部品の樹脂化の流れ
金属部品の代替事例
球体バルブ
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【使用用途】
ボールバルブに使用される3方ボール弁(PPS樹脂製)
【金属代替の効果】
価格 材料費低減、製品価格低減、組立費用低減 納期 製品調達L/Tの短縮、計画購入と在庫計画の確立 物性 耐薬品性、耐腐食性、軽量化 品質 寸法安定性、不良率低減 加工性 切削加工不要、生産性向上 - 詳しくはこちら
給湯器部品(配管継手)
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【使用用途】
給湯器、エコ給湯、燃料電池向け配管継手(PPS樹脂製)
【金属代替の効果】
価格 材料費低減、製品価格低減、組立費用低減 納期 製品調達L/Tの短縮、計画購入と在庫計画の確立 物性 耐薬品性、耐腐食性、軽量化 品質 寸法安定性、不良率低減 加工性 切削加工不要、生産性向上 - 詳しくはこちら
流量・流路制御部品
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【使用用途】
工業用洗浄機の流量・流路制御部品(PPS樹脂製)
【金属代替の効果】
価格 部品点数削減、組立工数削減、調達一元化 納期 安定調達、調達L/Tの短縮 物性 耐薬品性、耐腐食性、軽量化 加工性 形状自由、部品集約化 - 詳しくはこちら
金属代替に対する当社の技術サポート
【プラスチック材料の提案】
同一種類の樹脂材料でも、様々なグレードがあり、その用途に応じた適切な樹脂の選定が大変重要になります。
当社は、お客様の使用環境や使用条件に合わせ、樹脂材料の機械的性質、熱的性質、化学的性質、電気的性質等の諸性質とその使用用途の実績を踏まえ、樹脂選定のお手伝いをさせていただきます。
【射出成形品に適した形状提案】
金属代替を射出成形で行う場合、そのままの形状で製作できることは極めてまれで、強度確保の為のリブ、ボス等の追加、外観を確保する為の肉厚部の肉抜き、金型からの離型に必要な抜き勾配の追加等の形状変更が必要となります。
また、射出成形では金型から製品を取り出す必要があるため、そのままの状態では離型出来ないアンダーカット形状は金型にアンダーカット処理を設ける必要があり、金型が複雑で高価になります。金型製作費を抑制するには、アンダーカットを回避する形状変更が効果的です。
当社はこうした金属部品の樹脂化のために、必要な形状提案や図面変更のサポートさせていただきます。
【部品点数削減】
プラスチック成形では、複雑な形状を金型内で成形、再現できるメリットがあり、複数部品の集約化や小型ができる可能性があります。
金属代替を検討している部品だけでなく、周辺部品の集約化や部品点数の削減を含めた樹脂化をサポートさせていただきます。
【品質管理】
金属部品は切削加工箇所が重要寸法である事が多く、その管理方法も切削加工を前提とした管理が主体となります。一方、プラスチック成形で切削加工をする事はまれで、金型から離型した形状を管理することが基本となります。
金属代替で樹脂を使用する場合は、その管理方法を金属部品からそのまま引き継げる場合もあれば、管理方法を変更せざるをえない場合もあり、そこには、技術的、品質的に本質を突いたすり合わせが必要となり、そこが金属代替の難しさでもあります。
当社はこれまで金属代替による樹脂化で培った、さまざまな評価方法の知見をもとに、お客様が本当に必要とする機能を満足した製品をご提供出来る体制が整っております。